こんな風にやってます カレンダーの校正

校正

日付を見たり予定を立てたりするのに必要なカレンダー。

実はカレンダーも校正されていること、ご存知ですか?

この記事では弊社の校正スタッフがカレンダーの校正をするときにチェックするポイントをご紹介します。

カレンダーの校正に使うもの

まず、私たちが何を使って校正しているかをご紹介します。

 

一つ目はゲラ。
ゲラは校正刷りのことを指しますが、この場合は校正するカレンダーの紙面になります。

 

二つ目は日玉見本。
日玉見本はカレンダーの原稿のようなもので、月ごとの日玉と曜日の並びが載っています。
また、祝日や六曜、二十四節気などカレンダーに載せる日玉以外の情報が載っていることも多いです。

日玉見本(イメージ)

基本クライアントから支給されるものを使いますが、支給がない場合は国立天文台(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)など信頼のおける機関が出しているこよみを使用します。

 

日玉とは、カレンダーの日の数字ひとつひとつのことをいいます。
月の数字は月玉といいます。

 

三つ目は資料。
この資料はクレジットなどが紙面に記載されている場合の原稿です。
すべてのカレンダーでチェックが必要なわけではないので、この資料がない場合もあります。

 

カレンダーはミスがあったときの影響が大きいため、弊社では基本的にWチェックで校正しています。

Wチェックとは、2人のスタッフで同じものを2回校正することです。
異なる人間が2回校正することで、単独での校正よりも見落としを減らすことができます。

チェックするポイント①日付

カレンダーをチェックするときのポイント1つ目は、やはりメインとなる日付の部分です。

 

日玉の並び順

日玉が1から昇順に並んでいるか、抜けているものはないか、各月の最後の日玉が合っているか、などを見ます。
デザインによって日玉の並び方はさまざまです。このためチェックするときの方法もデザインによって変えています。

よくあるのは4月なのに31日まである、逆に12月なのに30日までしかないなど、月の最後の日が間違っているものです。

4月に31日が入っていたり、12月が30日までしかなかったり……

 

日玉と曜日の組み合わせ

ほとんどのカレンダーは日玉と曜日が入っています。(デザインによっては曜日が掲載されていないものもあります)

この日玉と曜日の組み合わせが合っているかをチェックします。

 

以下にデザインごとのチェック方法の例を挙げます。

A:横7コマ×縦4~6コマのカレンダーの場合

数字の並びは横だが、校正時は縦の並びでチェックする

数字の並び順としては横に流れていますが、校正するときは縦に見ていきます。
なぜ縦の並びでチェックするかというと、数字を1、2、3、4……と順番に追っていくと抜けやダブりがあっても気づきにくいためです。縦の並びは数字が+7ずつ増えていくので、日玉ひとつひとつを認識しやすいのです。
また、縦の並びでチェックすると、曜日との組み合わせも同時に見ることができます。

 

B:縦または横に日玉が並んでいるカレンダーの場合

横一列に日玉が並んでいるカレンダー(イメージ)

日玉が1から抜けがなく順番に並んでいるか、日玉と曜日の組み合わせは合っているかをひとつずつ見ていきます。
1列で1ヶ月の場合もあれば、15日あたりで折り返して2列になっているなどもあります。
曜日はアルファベット表記で各頭文字1文字のみが記載されている場合が多いです。
弊社では曜日のゲージを作成し、これを当てて曜日の順番が間違っていないかチェックしています。

曜日ゲージ

このように曜日部分に当てて使います

 

C:上記以外の並びのカレンダーの場合

不規則に日玉が並んでいるカレンダー(イメージ)

こちらも上のBのように日玉が1から抜けがなく順番に並んでいるかひとつずつ見ていきます。
ただし上の画像のように日玉がまっすぐに並んでいないデザインの場合もあります。(上の画像の例は極端ですが、まっすぐ1列ではなく波形に並んでいたり、円形に並んでいたりするものはときどき見かけます)
この場合は、曜日のゲージが当てられれば当てながら、ゲージが使えない場合は日玉見本と突き合わせて注意深く見ていきます。

 

日玉の色

一般的なカレンダーは、土曜日が青系、日曜日・祝日が赤系の色でデザインされています。

(デザインによっては上記とは別の配色の場合もあります)

また、日曜日・祝日のみ色が異なる(土曜日が平日と同色)デザインのカレンダーもあります。

この割り当てられた色が正しく割り当てられているかをチェックします。
具体的には割り当てられた色が正しいかのチェックと、日玉の色ごとの数が日玉見本の数と一致しているかのチェックをしています。
よくあるのは祝日が平日の色になっているもの、反対に平日が祝日の色になっているものです。
(同じ並びの月をコピーペーストして再利用していると起こりやすいようです。下の例だと10月はおそらく1月をコピペしてきて1日の色を変え忘れたままになっているのだろうな……などということがうかがえます)

8月は11日が「山の日」だが、平日の色のままになっている。10月の祝日は第2月曜日のみだが、1日も赤文字になっている

 

1列に並んでいるデザインのカレンダーなどでは、祝日の日玉は祝日の色・曜日はその曜日の色となっているものと日玉も祝日も祝日の色になっているものがあります。

〈上〉日玉は祝日の色(赤)、曜日は月曜日の色(黒)になっているもの。
〈下〉日玉も曜日も祝日の色になっているもの

こちらは全体のデザインを見て、統一すべきほうの色遣いに合わせます。判断がつかない場合はどちらに揃えるか疑問出しをします。

 

祝日

祝日名が入っている場合は間違いがないかチェックします。
祝日名の入れ忘れはときどきありますが、ごくたまに「憲法記念日」に引っ張られてなのか「建国記念日」と間違って入っていることがあります。(正解は「建国記念の日」です)

 

月の英語表記

月の英語表記は、その月に対応した月名が入っているか、スペルが合っているかを確認します。

筆記体で入っている場合は、フォントによっては文字の切れ目が分かりにくいため、ブロック体で入っているものよりも注意してスペルを確認します。

筆記体の月名

同じ「January」でもフォント次第で印象が変わります
(一文字一文字の認識のしやすさも変わります……)

 

デザインによっては月名を省略して表記するものもあります。省略された表記の場合は、省略記号である末尾の「.」が入っているかなどを確認します。

5月の英語表記「May」だけは末尾の「.」が入っていないかを確認します。
省略形は「Jan.」「Feb.」など3文字で表記されることが多いですが、「May」は略さなくても3文字なので省略記号は必要ないからです。

月の英語名の省略形。
「May」は略していないので「.」はいらない

 

和風月名

和風月名とは「睦月」「如月」などの月の和風の呼び名のことです。こちらもその月に対応した月名が入っているか、漢字が間違っていないか、よみがながある場合は仮名遣いが間違っていないかを確認します。

“月”名なのでよみがなの仮名遣いは「~ずき」ではなく「~づき」となる

 

 

カレンダーによっては、メインの月に加えて同じページ内に前月・次月のカレンダーが載っているものもあります。この場合は前月・次月のカレンダーも上記のポイントをふまえて校正します。

前月・次月が載っているカレンダー

チェックするポイント➁暦に関連する事項

カレンダーをチェックするときのポイント2つ目は、暦に関する事項です。

 

六曜や二十四節気など

六曜は先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口を日ごとに割り当てたものです。旧暦の各月1日が基準日となっており、月によって上記6つのどれからスタートするかが異なります。(例えば旧暦の3・9月であれば先負からスタートして仏滅、大安……と順に割り当てられます)
(参考:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html
基本的にすべての日に入るため、六曜が入っているカレンダーは日玉と六曜でカレンダー全体を2周チェックするような形になります。
六曜は既に述べたように旧暦の1日が基準日のため、新暦を使っている私たちからすると部分的に不規則な順番になっているように見えます。このためチェックするときはそれなりに神経を使います。

 

二十四節気は日本や中国で伝統的に用いられる季節の目印です。
(参考:https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/faq/24sekki.html
よく耳にするのは春分、夏至、秋分、冬至などでしょう。
二十四節気が載っているカレンダーは多くはありませんが、記載の指示がある場合は正しい日付に入っているかどうかチェックします。

 

六曜、二十四節気のほかには、一粒万倍日や天赦日などの吉日、月齢などが入っているものがあります。吉日は日玉見本または支給の資料と突き合わせします。月齢も支給の資料と突き合わせします。

 

祝日以外のイベント

ひな祭りやクリスマスなど、祝日ではないが年中行事としてカレンダーに掲載があるものです。
こちらも記載の指示がある場合はチェックします。

チェックするポイント③日付以外の要素

カレンダーには日付以外の要素も載っています。カレンダーをチェックするときのポイント3つ目は、この日付以外の要素です。

 

タイトル

タイトルは、表紙と場合によっては裏表紙にも記載があります。
芸能人やアニメ作品などの場合は人名や作品名が正しいかチェックします。
ときどき見かけるのは「カレンダー」の英語表記が「CALENDER」になっているものです。
(正解は「CALENDAR」です)

 

クレジット

芸能人のカレンダーはスタッフクレジットや芸能事務所のクレジットが入っていることが多いです。
また、アニメ作品やキャラクターもののカレンダーも制作者のクレジットが入っていることがほとんどです。
チェックの際はクライアントから資料が支給されるので、この資料と突き合わせて確認します。

 

写真などのキャプション

キャプションとは写真やイラストの説明のことです。
こちらも資料が支給されるので、この資料と突き合わせて確認します。
資料はないが内容を素読みしてほしい、という依頼が来ることもあります。
(素読みとは文章が日本語としておかしくないかなどをチェックすることです)

 

誕生日など

芸能人やキャラクターの誕生日が各日付に記載されていることがあります。こちらも資料が支給されるので、この資料と突き合わせて確認します。

まとめ

弊社でカレンダーの校正をする際に気を付けているポイントをご紹介しました。
ふだん何気なく使っているあなたの部屋のカレンダーも、こんな風にたくさんのチェックが入った末にできたものかもしれません。

 

弊社では今回ご紹介した基本的なポイントのほかに、お客様のご要望やカレンダーのデザインに合わせた+アルファのチェックも行っております。
カレンダーの校正についてのお悩みは、ぜひタクトシステムにご相談ください。